MARINA


 販売元:グラフィティジャパン(株)
  定価:9800円
動作環境:HYBRID仕様



 MARINAは、肌が透き通るように白く、唇は薔薇ほどに赤い、墨色の豊かな長い髪をした18歳の女のコ。ぱっちりと大きな目に、けぶるような長い睫が印象的で、とてもきれい。だけど…。

<警告>
 あなたがもし、MARINAの裸やセックスシーンを見たいのであれば、もしくは所謂AVのように楽しみたいのであれば、このタイトルを買ってはいけない。

 うーん、正直言って、コレは果たしてエッチものなのかどうかも、今のところワタシには判断できないのよ。
 X指定になっているのは、ほんの少しだけど男女のカラミ(MARINAではない)がコラージュ的に挿入されているから?
 それとも身分証明書を偽造してカード詐欺をし、企業のコンピュータに侵入してデータを流出させたり、ファイルをいじったりする、クラック好きのハッカーの話だから、青少年向けではない?
 ひょっとすると、どうせ女のコが主役なら、アダルトとして出したほうが売れるから、という策略かもしれない。
 うーん、とにかくストーリーを説明するわね。

 プレイヤーであるアナタのコンピューターのネットワークに、突然だれかがアクセスしてくる。なぜかモニターの中には、女のコの姿が現われる。彼女の名前はMARINA。彼女にはあなたの声だけしか届いていないらしいが、白くて何もない部屋に独りで退屈していたのか、モニター越しに話しかけてくるMARINAと、しばらくお喋りを楽しむ。しかし、どうも彼女の様子はおかしい。コンピューターの具合も。大体、なぜそこにいるのか?
 MARINAが言うには、彼女の兄が医療用に構築した、脳波とコンピューターを結んでオペレーションするためのシステムで遊んでいたとき、間違って意識体だけがコンピューター内に閉じ込められてしまったのだという。時折ノイズが混じるのは、そのシステムに不具合が生じているからなのか?そして「お兄ちゃんは殺された」とMARINAは言うのだ。
 MARINAは、あなたを“お兄ちゃん”のように慕ってくる。そしてあなたはワケも解からないまま「そこから出してあげる」と、約束するのだ。そこに、あなたとMARINAの交接を阻む者が現われる。「ワタサナイ」という警告、システムのトラップによる妨害、そして“クラウドテン”と名乗るその男による説得の後、MARINAとの交信は絶たれ、あなたはネットワーク上に断片となって残された“お兄ちゃん”の日記を読む。
 “お兄ちゃん”は、実はハッカーだった。そしてMARINAは…。しかし、日記に書かれているコトが真実なのかどうか、あなたには判らない。それを知るためには、“お兄ちゃん”がしたように“CL10”にジャック・インするしかない。本当にMARINAを出してあげられるのか?“クラウドテン”は、MARINAは何者なのか?おびただしい数のセキュリティを、あなたはひとつづつ外し始める…。

 はあ〜、長かった。でもコレで終わりじゃないのよ。セキュリティを全部外して、“CL10”本体だという“クラウドテン”と対峙することができるのか、“お兄ちゃん”の正体は何か、ワタシにもまだわからない。なぜなら…どうしてもあとひとつ、セキュリティ・ナンバーが、解けないからなの〜(泣)。ここで引っ掛かってるワケよ、だからホントにこの先もMARINAが脱がないかどうか、保証はできません。ゴメン。
 が、ストーリーを読んでお分かりのとおり、かなり練られた展開はとっても面白い。そう斬新なストーリーってわけでもないけれど、コンピューター画面という設定だから、スムーズにゲームに入り込んでしまうのよ。システムと同じようなアラートと共に、ダイアログBOX(警告ウインドウ)が出るとか、ドキッとさせられる小技も効いているし、後半のデコーディング作業なんて、気分はもうハッカーになりきってるもん。

 とにかく、MARINA役の二階堂ひとみちゃん(聞いたコトあるような、ないような名前)がとってもキレイ。これだけでも見っけモノ、と思うほどの美少女よ。そして、監督のヒキタ氏の彼女に対する愛が、ひしひしと伝わってきちゃう作品になってると思う。大学の映研なんかで、いつの時代も必ず撮られている、監督が、恋人を主演女優に使った映画ってあるでしょ?低予算で、内輪で撮った、時に反社会的だったり、SFだったりするような作品。雰囲気はまさにそれ、なんだよね。
 たぶん監督のヒキタクニオ氏は、グラフィック系の方らしく、気合いの入り方とかが、初めてCD-ROM創りましたー!ってカンジなのね。ワタシはそのシロートっぽさ(失礼!)や、熱意も含めて面白かったけど、どこかB級感が漂う画面デザインや、クリックの反応が鈍い、読み込みが遅いなど、オーサリングにも少し難があるから、うーん、好き嫌いはあるかもしれない。
 ま、エロがないとはいえ、個人的には強力にお薦めしたい作品だわ。クリア出来ないまま原稿を書くのが、どんなに悔しかったコトか…。
(吉田メグミ)
(MediaDirect CD-ROM MAGAZINE 1995.09)

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