桃源紀行


 販売元:株式会社ロディック
  定価:12800円(税別)
動作環境:Mac



 夭逝した姓名数理研究家金高慎一郎氏が、生前にまとめ、私家版として発行した「金高慎一郎・姓名学事典」の原書を発見し、研究を再開した二代目金高氏が監修した、姓名占いCD-ROMが、この「桃源紀行」だ。一般の姓名判断に加え、相性診断機能、会社名・商品名診断機能、命名・改名機能などを搭載し、トータルな姓名判断が出来るように作られている。
 名前と性別を入力するだけで、あとはグラフィカルに診断結果を表示してくれるので、誰にでも簡単に扱える。結果は、グラフや文章など、様々な角度から検証できるので、結果の判断が素人にも簡単に出来るように作られているのが魅力だ。
 また、命名機能では、要望を入力すると、最高81万回のシミュレートを行い、理想の名前を探してくれる。データベース検索が速いので、何度も繰り返して占わせることが面倒ではないのが嬉しい。

 単に名前と性別を入力するだけなので、ほとんど迷う事はない。いちど入力した名前は記録され、リスト表示されるので、違う占いをするたびに新たに入力する必要はない。命名・改名機能は、あまりに名前っぽくない漢字が大量に表示されるので、やや使いにくいが、名前にふさわしいかどうかは主観の問題なので、これは仕方がないことなのだろうと思う。
 ややボタンの反応が遅いのは気になるが、それはMacintoshの方の問題であって、現状ではこんなものだ。

 「全般運」「性格運」「恋愛運」「対人運」「職業運」のそれぞれのイメージを、水晶玉の中に浮かぶ3Dキャラクターと気象(雨や風など)で表現するという、派手なグラフィック。全体に、タイトルの「桃源紀行」というイメージに合わせた3Dグラフィックスが多用されている。CGは駄馬寛氏が担当。オリジナルBGMと共に、画面に広がりを持たせている。
 どうしても地味になるか、極端に派手になるかしがちな占いものとしては、落ち着いた感じに仕上がっていると思う。
 グラフやメーターによる表示や、ナレーションによる説明が分かりやすく、判断結果が掴みやすいのは評価できる。

 全体に、バランスが取れているし、姓名判断に絞って、そこを徹底的に充実させているのが成功している。当たるかどうかは、さほど問題ではないと思う。このソフトは、飽くまでも姓名判断のソフトであり、運勢は決して姓名だけに左右されるものではない。多くの要素の一つとして正しく使えば、充分役に立つものだと思う。実際、このソフトの中でも、姓名に左右されにくい運勢、などについての判断もあり、そういう誠実な姿勢の占いソフトとして、好感が持てる。
 やや極端な趣味のグラフィックには好き嫌いが分かれると思うが、内容的には良くできていると思う。
(納富廉邦)
(MacWorldJapan 1996.04)

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