Oregon Trail II


 販売元:株式会社メディアヴィジョン
  定価:12800円(税別)
動作環境:CPU68030以上のMacintosh(040又はPowerMac推奨)



 GO WEST!という言葉と共に、アメリカのフロンティア・スピリッツの原点になっている、西部開拓時代。新たな天地を求めて、様々な人々が、西へ西へと、幌馬車で旅をする。もう何が凄いって、ロッキー山脈を越える過酷なアメリカ横断の旅に、子供まで連れて、その先どうなるかも分からないのに出発してしまうんだから、当時のアメリカ人の無鉄砲さって、もうわけ分かんない。

 このCD-ROMは、西を目指す希望の旅を、かなり細かく再現し、その苦労や楽しさを感じてもらおうという、中々に教育的で、それでいて、かなり本格的なアドベンチャー・ゲームになっているというものだ。アメリカでは200万枚のベストセラーになっているらしい。まあ、かなりアメリカ人的というか、最近、ドラマや映画などを見ても影が薄いのが当たり前になってきているアメリカの父親が、我が子に与えたくなるような作品である。父権の復活は現在のアメリカが抱える最大のテーマのようだし、それを抜きにしても、このゲーム、かなりよく出来ている。
 ゲームは、まず、いつ、どこから、誰が、何人で、どのような装備で出発するかを、事細かに設定することから始まる。年代、季節、職業から目的地まで、設定項目は多岐に渡る。旅に関する注意や情報は、オンラインで参照出来るガイドブックに詳しく書かれているので、それに基づきながら、自分の職業や、一緒に行く家族、幌馬車のサイズや台数などを決めていく。

 設定が終わると、出発地に決めた町から物語が始まる。そこで、馬車を引く馬や、連れていく家畜(例えば牛なら、馬車を牽かせられるし、食料にもなる)、食料や、衣類、薬などを購入し、旅の準備をする。町の人たちの話やガイドブックを参考に、馬車の積載量を考えながら購入する。店で売ってないものは、町の人との物物交換で入手できる。準備が出来たら、どの幌馬車隊と合流するかを選ぶ。このゲームは、旅に出るまでの設定がとにかく細かいのだ。まあ、それだけ大変な旅なわけで、準備は慎重に行うに越したことは無いのだけれど、このあたり、かなり面倒ではある。ただペミカンとかモルヒネとか、当時を偲ばせるアイテムを見聞き出来て、勉強になるなあ。
 旅に出てしまうと、あとは、アクシデントとの戦いになる。砂漠での水不足、山越え、家族の病気、馬車の転倒など、次々にプレイヤーを襲う。同じルートを同じように旅しても、ふりかかるアクシデントは、毎回違い、旅に正解は無い、ということを思い知らされる。また、ゲーム中に起こったことや、選んだ行動が、全て日記スタイルで記述されていく。このへんが上手く出来てると思う。ゲームクリアよりも、旅そのものを楽しめるのだ。
(納富廉邦)
(CD-ROM Fan 1996.03)

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