オルガスレイヴ


 販売元:株式会社KUKI
  定価:7900円
動作環境:HYBRID仕様



 3DCGによるキャラクターと実写映像を合成した映像によるCD-ROMタイトルは、「ファンタズム」や、CD-ROM大作ブームの嚆矢となった「デイドラス」など、数多く発売されている。アダルトCD-ROMでも、名作「ヴァーチャル未亡人」などがある。しかし、ついに出るべくして、というか、やっぱりいつか誰かやると思ってた、3DCGによるキャラクターと、実写映像の人物による絡みのあるアダルトCD-ROMが登場した。KUKIの「オルガスレイヴ」である。
 内容は、近未来SF仕立てのアドベンチャーゲームで、パッケージには、「実写+CG+アニメーション、あらゆる映像のエレメントを駆使した、SFXファンタジー超大作」と書かれている。3DCGとSFX的な効果を使った作品には、既にKUKIは「FUTURE SEX」という先行作品があるが、きちんと絡みまで表現したことで、この「オルガスレイヴ」は、かなり特異な作品に仕上がっている。
 化け物と女優の絡みだけでなく、きちんと、女性型の化け物キャラクターとSEXする男優のシーンも収録されているのも、この3DCGのキャラクターとの絡み、という部分に重点が置かれた作品であることを物語っている。
 しかも、この作品が優秀なのは、全てのキャラクターをCGで表現するのではなく、一部のキャラクターは人間が演じている(俗に言う「かぶりもの」)ことだ。決して無理はせず、あるものは何でも使う柔軟性が、KUKIのタイトルに共通した要素だ。しかも、女優と、グニャグニャした触手との絡みのシーンもあるが、そういう部分も、CGを使ったシーンもあれば、ただのホースに色を塗ったようなものを女優に巻き付けて撮影したシーンもある。作品が面白ければ、別に全てをCGにする必要はない。要は、CGでなければ表現できない、または、とてもセットなどを用意する予算が無い、という時にだけCGを使えばいいのだ。
 実際の3DCGについては、機械類など、パーツを組み合わせて作り上げた機械ではない、KUKI特有の、プラスチックを鋳型でくり貫いたような不思議な質感のものだったりもするが、キャラクターに関しては、異生物をうまく表現している。触手がうごめいて、女優のシャツをずり上げ、胸をまさぐるシーンなど、見事に実写映像とCGのアニメーションがシンクロしている。画質はフルスクリーンにすると流石に荒くなるが、動作速度は充分だし、音とセリフと映像のシンクロもきちんとしている。相変わらずの圧縮技術が光る。
 役者がかぶりものをした怪物の舌の部分だけがCGになっていて、その舌が伸びて女優を責めていたり、CGのキャラクターが直接胸をまさぐったりと、絡みのシーンが多いのも魅力だ。実際、映像的には、例えばこれをビデオで見せられたら、ちょっとレベル的に許せないかもしれないが、パソコンで見る分には、やけに新鮮に見えることも事実だ。
 もちろん、人間同士の絡みも、女優のオナニーシーンもちゃんとあって、その手を期待する人にも楽しめるが、この作品は、どちらかというと、SEXそのものを見る楽しみではなく、そのバカバカしさを楽しむ作品だろう。バカバカしさを楽しむ作品は、このくらい、きちんとCGもシナリオも作られていないと面白くならない。単に、3DCGのキャラクターが女優と絡むと面白そう、というだけの、本当にそれだけの作品なのだが、それが、実際に面白いのは、CGであるからではなく、作品そのものの作りがしっかりしているからだ。
 かなり笑えるタイトルだが、実際、楽しく笑えるCD-ROMがいったいどれだけあるのだろう、ということを考えると、この作品の凄さが分かってもらえるのではないだろうか。
(納富廉邦)
(DOS/V MAGAZINE MULTIMEDIA 1996.04)

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