KING'S QUEST VII 完全日本語版


 販売元:シエラ・パイオニア株式会社
  定価:9800円(税別)
動作環境:Win3.1, Win95



 「KING'S QUEST」はアメリカで大ヒットを続けるアドベンチャーゲームのシリーズ。既に7作目というだけでも、人気が分かると思う。
 今回の冒険は、結婚適齢期の王女と、その母である女王が主人公。結婚したくない娘と、結婚させたい母親の物語だ。しかし、シリーズも7作目ともなると、「どこがKING'S QUESTやねん」と突っ込みたくなるほど、その内容は当初のシナリオから離れていく。ま、シリーズとはいっても、世界観が同じというだけで、シナリオは独立してるし、このタイトル単独で充分面白いから、全然問題はないけどね。

 ストーリーは、池のほとりでの母娘の会話から始まる。モテるんだけどその気がない娘に説教をするお母さんと、それを上の空で聞く娘。何だか妙にリアルな設定だ。で、上の空でぼんやりしていると、池の中から羽の生えたタツノオトシゴが飛びでてくるもんだから、娘はそっちに夢中になる。夢中になりついでに、水中に見える綺麗なお城に向かってダイビング!あわてたお母さんも娘を追って飛び込んでしまうという、中々ダイナミックな展開。娘を助けようと手を伸ばすお母さん。しかし、脇からひょいと現れた不気味な腕に娘は連れ去られてしまう。
 ここまでがオープニングムービー。その後、お母さんが砂漠で活躍する第一章、娘がトロール(ブタみたいな姿の種族)の姿になってトロール王の婚約者にされてしまう第二章、さらに砂漠を抜け出したお母さんが不思議な森の中をさまよう第三章、続いて、人間に戻った娘が墓場の国をホンモノのトロール王探す第四章、という具合に、一章づつ、娘と母親が交互に主人公になりながら、第七章のクライマックスへと流れる構成。1〜6章は、最初に好きなところからプレイできるが、まあ、一章か二章から始めるのが、最も楽しく遊べると思う。

 オープニングのムービーとほとんど変わらぬクオリティでアニメーションはグリグリ動くし、操作は方向やアイテムをマウスで指示するだけ、画面には一切文字が出てこないという、操作性に優れたインターフェイスで、世界への感情移入が楽だ。笠原弘子さんをはじめとする吹き替え陣が頑張っているので、まるでオリジナルアニメを見ているかのようにスムーズに遊べる。
 ただし、優しげなアニメーションと簡単な操作性に似ず、謎解きはかなり手強い。でも、失敗して死んでしまっても、その直前からやり直せるから、安心して色んな事を試すことができる。お母さんの優雅な物腰や、トロールになった娘のダラダラした歩き方など、アニメーションの表現も豊かだし、シナリオもよく練られているから、やり始めたら止まらない。名作だよホント。
(納富廉邦)
(CD-ROM Fan 1996.05)

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