chronicles 〜怪獣年代記


 販売元:バンダイビジュアル
  定価:5800円(税別)
動作環境:Mac, PhotoCD



 怪獣は、言うまでもなく想像の産物だ。造形はもちろん、その性質からドラマまで、全てが想像から生み出され、生み出された瞬間から、様々な人々の中に別のドラマを作り出していく。
 このCD-ROMは、そんな想像上の産物が生きたドラマのイメージから作者開田裕治が感じとったリアリティをそのまま絵として定着させた、既に想像ではない、どこかに確かにいた、「怪獣」たちを収めた作品集だ。また、制作過程やインタビュー、モチーフとなった怪獣のデータや作品解説などをまとめて収録し、開田氏の世界と、怪獣の歴史を同時に楽しめるように工夫されている。
 作品を見せることを第一に考えられたインターフェイスは、様々なデータを参照したり、部分的にクローズアップしたりも出来るのだが、作品を邪魔することなく、スムーズに見ていくことが出来るように作られていて、デジタルの画集としての完成度もかなりのものだ。
 細部までしっかりと描き込まれているにも関わらず、怪獣の生態図鑑にはならず、そこに怪獣が存在する、という感動が伝わるような開田氏の絵は、怪獣なんて興味が無い、という人にこそ見てもらいたいと思う。そこにあるのは、一枚の絵に凝縮された生き物のドラマだ。注釈やタイトル、説明的な背景などに頼ることなく、怪獣の姿そのものが物語を語っている。芸人や役者の写真集を見た感動に似た、生き物としての怪獣の魅力に触れて欲しい。
(納富廉邦)
(MediaDirect CD-ROM MAGAZINE 1996.07)

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