ジャングルパーク


 販売元:株式会社デジタローグ
  定価:5600円
動作環境:HYBRID仕様、PiPPiN版も発売予定



 松本弦人の二年ぶりの新作は、島で遊ぶリゾート系アミューズメントだ。小さな島でお茶をすすり、釣りをして、植物と戯れるノンキな生活をしていたサルを連れて、ジャングルに覆われた不思議な島を散策する。この島は、BED HED博士が作った、アミューズメント・パークになっている。懐かしの「野球盤」や「ホッケーゲーム」「Uコン」「ボーリングゲーム」などが、ちょっとヘンなルールになって、島のあちこちに置いてある。いかにもオモチャ、という質感の3Dで作られたこれらのゲームは全部で24個。一つ一つが、結構ハマれるし、動きが楽しくて、ついつい遊んでいると、とてもじゃないけど、島の全貌なんか掴めない。でも、それでいい。島には、ゲームの他にも、様々な出会いや、妙なギャグ、ちょっとしたイベントがいっぱいだし、少しづつ、島の中を散策すれば、それだけでワクワク出来る。
 サルを操作して、サルに遊ばせるのが基本のインターフェイスだが、このサルの動きだけでも、一日は楽しめてしまう。実際、未来のマウスカーソルとも言われているサルは、一度クリックすると、あとはそのままマウスの動きに付いてくる。ずーっとドラッグする必要がないインターフェイスが見事だ。マウスの動きに付いてきながらも、花を愛でたり、石を蹴ったり、チョコチョコ寄り道するという、もう、卑怯なほどツボを心得た演出が、島を探検するというだけの、このCD-ROMに奥行きを与えている。
 実際、好きなゲームを好きなときに楽しめる、というわけではないし、サルはすぐジャングルに隠れて見えなくなってしまうし、島全体が迷路のようなものなので、時にはイライラするしで、決して完成度が高い作品ではない。しかも、それぞれのゲームやイベントがこじんまりとしていて、作品のスケールが大きいわけでもない(島は結構広いけどね)。
 だけど、この島を探索するのは気持ちいい。ホント、リゾート気分で遊べるCD-ROMなのだ。チョコマカした世界だけど、決してセカセカしてはいない、これが大事だよね。だから、のんびり遊ぼうね。
(納富廉邦)
(MacFan 1996.06)

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