Talking Dragon 風雲の章


 販売元:MIXA
  定価:3800円(税別)
動作環境:Mac, Win3.1, Win95



 ただひたすらドラゴンが関西弁でしゃべくる、それだけのCD-ROMだけど、これが結構面白い。マルチメディアチャレンジ'95で審査委員奨励賞を授章した作品の商品化なのだが、審査員を笑いの渦に巻き込んだという応募当時の作品を大幅にパワーアップしたものになっている。何より、見た目などを派手にすることではなく、しゃべくりの内容をパワーアップしてあるのが嬉しい。
 内容は、早い話が漫談なんだけど、このドラゴン、結構客いじりもするし(つまり、インタラクティビティ。ドラゴンの質問にYesかNoで答えると、それに応じた答えが返ってくるだけだけどね)、ドラゴンの気分を、喜怒哀楽それぞれに変えて、そういう気分で喋ってもらうことも出来る。「喜」は、機嫌のいいドラゴン。機嫌がいいから毒舌を吐く。「怒」は、怒りのドラゴン。しかし、関西の怒りなので、その内容は故人生幸朗師匠のボヤキに限りなく近い。「哀」は、このCD-ROMの白眉。ブルーになったドラゴンの自嘲だらけの喋りは、ちょっとだけ口元を緩ませてくれる程度だけど、それでいい。「楽」は、楽しそうなドラゴン、気楽なネタを軽く話してくれる。
 この感情をコントロールしたときの反応が、何とも関西漫才ノリで、聞いてるだけで嬉しくなってくる。また、ドラゴンの気が向けば、しゃべくりを一時中断して、彼が住む家に連れていってくれたり、起承転結スロットマシンで遊ばせてくれたりもする。でも、本当に、これらは彼が気が向いた時だけしか見ることが出来ないようになっている。
 こういう、ちょっとしたジョークソフトというのは、本当はもっともっとたくさん出てくると、面白いジャンルになりそうなのだが、案外CD-ROMにはなりにくいものらしい。このソフトを見ていると、別に、大仕掛けがなくとも、容量を100MB程度しか使っていなくても、内容の楽しさだけで十分一つの作品として成り立つということがよく分かる。それでも、これを商品として発売するのは勇気がいったと思うけどね。
 終了時には、テキストファイルで、ドラゴンからのお手紙が届くとうになっているのも気が利いていて、しかも、そのお手紙の内容が、脱力ものという、中々徹底した作品なのだ。
(納富廉邦)
(MacFan 1996.04)

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